RK-Silver/HBの最初の印象は正直「ん?普通だな。」という印象でした。
これはあの完璧だと思われたRK-Silver/KSを超えるサウンドとはどのようなものなのか?
それは100点満点に限りなく近い、とてつもなく素晴らしいサウンドなんだろうと勝手に予想した故の肩透かしを食らったような感覚でした。
実はこの感覚、以前も経験したことがありました。
それはRosenkranzと出会ったきっかけであるedition9のモディファイ依頼の時のこと。
初めてその音を聴く際にあまりにも期待で胸が膨らんでいた為、あまりにも自然な音で驚いたのでした。
設計者貝崎氏が目指すサウンドは0点満点。
このRK-Silver/HBを聴けばその言わんとする事が自ずと実感出来ます。
ある機種を聴いて「音が凄い良い!」と感じるのであればそれは主役が【オーディオが出す音】になってしまっている証拠です。
主役はあくまでも音楽であって、ツールであるオーディオは主張せず黒子に徹するというのがRosenkranzのモットーです。
話をRK-Silver/HBに戻しますと、今まで使用した表現を用いるのであればイヤホンで聴いている事を感じさせないというのが特徴のシルバーイヤホンシリーズでしたが、このRK-Silver/HBにおいてはもう一つ先の感覚になりました。
それは【イヤホンで聴いている事を感じさせない事】それ自体を感じさせない。
つまり脳が耳で直に聴く音と同じように処理していたのだと思います。
10年程前のedition9モディファイの時は【自然な音】に驚いたのですが今回は【普通の音】と感じています。
この微妙な差異がRosenkranzの進化だと実感しており、もう一つ先の感覚、つまり生演奏に更に近づいた領域となっているのです。
自然な音というのはあくまでもオーディオで聴いている事を前提とした表現ですが、普通の音というのはいつも耳で聞いている音、聴こえている音の感覚です。
直に耳で聞こえてくる音をわざわざ自然な音に聞こえるとは言いませんよね。
この差は体験した方にしか伝わりませんがとても大きな差です。
最近読んでいる「スマホ脳」という本にスマホの電源を切り、ポケットに入れた状態でテストを受けると点数が落ちるという研究が紹介されていました。
これは脳がスマホを意識しないようにするという処理を無意識に行っている事で脳の処理能力がそちらに割かれてしまっているという内容でした。
RK-Silver/HBに関しても正にこれと同じ事が言えると感じました。
脳の処理がシンプルになる事でよりダイレクトに音楽を感じられるのです。
音楽ファンでそれを鳴らす為のオーディオにこだわっているけど、ハイエンドになればなるほどその機種の音を聴かされている感覚になってしまう方は是非RosenkranzのRK-Silver/HBをご体験下さい。
きっとあなたが求めている答えはここにあります!